実録へんなひと

いろんなのを書きますので腹を括ってください

記録シリーズ「夢無限夜」

Twitterのモーメントを作った。
twitter.com


このモーメントは高校生の頃から記録している夢に関してのツイートをまとめた物だ。
以下はモーメント作成に関してのあることないことを点々と書き綴っていく。

・きっかけはPSソフト「LSD」をプレイし感銘を受けた事がきっかけ……と言いたい所だが、当時の夢ツイートが仲が良かったフォロワーさんに気に入られ会話のタネになったから、と云う若気の至りマックスなソレが由来だったりする。
ああ恥ずかしい。

・モーメント・記事タイトルの元ネタはもちろん夏目漱石先生の『夢十夜』。
該当ツイートの枕詞「こんな夢を見た」も言うまでもなく夢十夜からの引用である。
(あとフォーマットを固めると検索が楽だったりするからね)
夢特有の唐突だったり掴み所の無い出来事や浮遊感のある読み口がとても好き。
また、この小説のスゴい所は「一見見た夢の内容生き写しに思わせるが、実は元ネタアリの創作」と言う点に尽きる。
夢日記を綴る者として、これがどんなにスゴい事かもいつか語りたい。

あ、ちなみにもうひとつのタイトル「記録シリーズ」についてはNUMBER GIRLのからの引用である。
殺!伐!

・反対に許せないのは「お前ホントにその夢見たのかよ?」と疑いたくなるような内容のやつ。
Twitterに生息する「点々とジャンル変えてはちやほやされるのを信条とするイナゴ女子」の得意技だったりする。
大体の見分け方は
・ドハマりしているコンテンツの
・ドハマりしているキャラクターが
・これまた自分の都合のいい解釈で
・バズりを狙った行動をしている
以上の点などが挙げられる。
まあ大体の内容がお粗末だったりしてわかりやすいので、判別の際にはお役立て頂けたら幸いだ。

夢日記とは言ったが、書けない夢も見ているのでそういったのは自然となかったことになっている。
一例を上げると「倫理的に危うい夢」「断片的にしか覚えていない夢」「淫夢」が該当する。
あくまで夢日記ではあるが公開する形を取っている為、闇に葬られる夢もある。ご了承頂きたい。

・それ以外の夢は大体はあけっぴろげに書いている。特に脚色も無い。見て覚えたままを書いている。
ただ「思い出し」「自らの手を加える」のを経由した夢は、自分が見た本当の夢か?と言われると懐疑的に思うことがある。

・また、夢の中でたまに曲が聴こえることがある。
疑問なのだが、それは果たしてオリジナルと言えるのか?脳味噌が今まで見聞きした記憶の断片から組み合わせたのがその曲なのか、実は世に、言うなれば、夜に一つしかないオリジナルの曲なのか……?
残念ながら再現する術が無いので確かめようがない。今の所は。

・夢を高確率で見る時は酒を入れている時が多い。ツマミにチーズを貪っていたりすると、何故か確率はハネ上がる。
自分だけかな?…と思って検索してみたら、意外にも科学的に検証が進んでいるらしい。
「食べると悪夢を見るチーズ」の存在は知っていたが、まさかそんなに因果が深いものだとは思わなかった。
ぜひ今度「悪夢を見るチーズ」を食べて試したい。

・イギリスでは回転寿司のチーズ版「回転チーズ」のお店があって、各々が好きなチーズを好きなだけ食べられるらしい。日本に上陸しないだろうか。原価高過ぎるから無理か。

閑話休題
ここまで夢で好き勝手繰り広げている自分だが、「明晰夢」に関しては全く以て信用していない。
理由は胡散臭過ぎるから。
あとは夢の不可解さ・荒唐無稽さを愛してる身としては、自在に操るだけの明晰夢なんてつまらないからだ。
なので一切信じない。恥を知れ!

……ちょっと興味はあるけど

・夢と言えば忘れられないのが、
「うつし世は夢 夜の夢こそまこと」と答えた
僕の敬愛してやまない江戸川乱歩大先生だ。
ここから仄かに匂う過激さ・厭世気質も氏の作品に遺憾無く発揮されている。
いつ聞いても惚れ惚れする名台詞である。

・他人の語る夢も好きだ。
……上の文言だけだと健常者に思えて笑う。
Twitter上でずっとこんな夢を見たbotと化していたら遂には友人も見た夢を語り出した。

我々人類の勝利だ!


上記の通り当アカウントは、
観測出来る範囲で夢の内容が語られていた場合
即座にキャッチする所存だ。
記事をご覧の諸氏に於いても
夢を見た際はぜひ呟いたり公開したりしてほしい。
何故なら僕は自分の夢もだが、
他人の語る夢も大好きなのだから!

……上の文言だけだと健常者に思えて笑う。


・こんな意味でしか使わないから
本来の意味で「夢」を語る機会は
永遠に失われてしまった。



趣味で夢日記をつけている者の独白としては
取り敢えずこんな所だろうか。
先にも述べたが、何か変な夢見た……となったら
ぜひ軽率に垂れ流して頂きたい。
それではおやすみなさい。

祖父が死んだ日

2020年は記録の年にすると決めていた。

12月初旬からずっと決めていた事だ。

理由はともあれ、決めた事なのだから守らなければならない。

だから記録する。記録するしかないのだと、この文章を記録している。

今まで起こった悲しい事も、嬉しい事も、いろんな事を忘れてしまわないように。

 

(あくまで記録なので、読み物の体は保証しません)

 

【祖父が死んだ日】

 

~12月25日~

・母が病院から帰って言うには「祖父にガンが見付かった」との事。

「手術にも投薬治療にも身体が耐え切れない」「胃に転移しているのが新たに見付かった」「経過を観察して判断する」

そう云った内容を実兄に電話で伝えているのを聞いて、自分は他人事のように聞いていた。

最後に会ったのはいつだったろうか…

大学2年生の授業のあったみどりの日だから、もう4年は会っていない。

施設で転んでケガをして、施設から病院へ移った時にも、見舞いにも行かなかった。

どうなるんだろうか?手術代とかあるのかな?

会って容体を確認してないからか、ぼんやりとした考えにしか頭に浮かばなかった。

仕事帰りで疲れていたのもあるだろう、深く捉えず、その場を後にした。

 

現実を思い知るのは翌日になってからだった。

 

~12月26日~

・珍しく早くに目が覚めた。夜遅く仕事から帰ってくる自分にとっては早い時間だ。出勤まではまだ時間がたっぷりある。さてどうしてやろうかと布団の中で英気を養っていたら、ドアをノックする音が聞こえた。妹だ。

 

「おじいちゃんの具合が悪くなったからお母さんが病院に行くって…」

「私達も出られる準備をしといて、だって…」

そう告げられた時、一気に血の気が失せたのを憶えている。

 

––昨日の今日だぞ?そんな事ってあるかよ?やっぱり寒さが...仕事どうするべきか?出勤前だから話をつければあるいは...…そもそも今働いている姉はこの事を知っているのか?父は一緒に病院に居るのか?折り返して連絡すべきか?ひとまずは着替えるべきか?––

 

多くの事が頭を駆け巡った時に、再度妹が告げた。

「留守電確認したら...おじいちゃん、亡くなった、って...」

 

・気持ちの整理は全くつかないまま、ひとまずは職場に向かった。

妹のバイトが無いというのを確認した後「出来るだけ父と母のサポートをしてやって欲しい」「俺は仕事が有るから」と逃げたのをはっきりと憶えている。駄目な兄貴だ。

取り敢えずは駅に向かいながら、今後休むかもしれない旨を職場に伝えた。

職場の全体LINEに「祖父が亡くなった」と打ち込んだ時は思わず顔をしかめて、歩みが遅くなった。文字にするといっそう辛い...その時はそうとしか思えなかった。

 

・仕事はいつも通りに事が進んだ。

と思ったが、こんな時に限って過去の因縁と云うのは付き添ってくるもので、

一年前に居た部署へ出向する理由があったから、複雑な面持ちで向かった。

去年は逃げる様にしてここから出たんだっけ。一年前の業務の記憶が殆ど無い。いつ来ても落ち着かないし緊張する。

そうして周りを見ていると、今年の6月に入れ替わりでここに異動した同期君が居た。つい昨日「29日に忘年会でもどう?」と折角誘ってくれたのに、行けない理由を説明して謝った。

 

・帰りの電車で、周りを見る。

忘年会帰りの酔客や吐瀉物等が一気に年末ムードを放っている。

当たり前だがみんな幸せそうだし何事も無かったかの様に世界は回る。

使い古された表現だけど思わずには居られなかった。

みんな楽しそうで何よりだった。もうそれでいい。

息をするかの様に使っているTwitterも今日はそんな気分になれず、

見るだけで何も呟かなかった。

姉と妹は「喪中につき新年の挨拶は控えさせて頂きます」とだけ呟いていた。

多くの人とやり取りする二人にとっては、さしあたっての報告の必要があったのだろう。

もしくは、持て余し気味の悲しみを和らげているのかもしれない。

 

そういやよくよく考えたら自分には挨拶も近況も分かち合う様な人なんて最初から居なかった。

 

・家に帰ると「3月のライオン」最新刊が家にあった。

折り返しのカバーの時点で異常な何かを察したら、各話の空きページとあとがきで全てが書かれていた。

お父様の最期と、愛猫ブンちゃんの顛末。

今の状況で読むには身につまされる思いで一杯で、巻末ページで涙が滲んだりと、

かなり辛い読書体験になってしまった。

ただ、そんな状況だからこそ、そんな状況で描かれたという彼らの物語が、とても愛しく思えて、とても輝かしく見えて仕方が無かった。

いい作品に出会えてよかった。

(あと零くんがやっとひなちゃんとくっ付いてくれてよかった)

羽海野チカ先生、楽しい物語をありがとうございます。

 

願わくば香子おねぇちゃんの出番をば。 

 

・「乙嫁語り」の最新刊もあった。

森薫先生は変態だと改めて確信した最新刊だった。

 

~12月27日~

・今日も仕事。他の家族は納棺に立ち会うと足早に家を後にしていた。

仕事内容は年末に向けて加速の傾向を見せていた。年始が一番の稼ぎ時であるから、当たり前の話ではある。

ただ、仕事の時だけは悲しみに暮れる様な暇も無かったので、それが救いだった。


・一番危ういのは仕事帰りの疲労している時。考えが無限に下へ行く。

「なぜ死ななければならなかったのか?」「なぜ俺は立ち会わなかった?」

果てには「俺は仕事でいくらでも苦しんでもいいから死んで欲しくなかった」と全く意味も無い後悔ばかりを考えていた。


目の前に貨物列車が走っている。


変な事を考えるな、必死に、虚ろに、言い聞かせながらどうにか帰っていった。

 

・自分宛に荷物が届いていた。

エスプレイドψ Drive Waves 2019」、頼んでいたサウンドトラックだ。

元作品の舞台がクリスマスと云う事で、この時期に来たのだ。

PCに入れてみたら曲情報が無い。いつもだったら喜び勇んで手入力を行っていたが、流石に難しいと判断。未タイトルのまま転送し、元気になったら聴こうと思う。

 

~12月28日~

・起き抜けに玄関まで降りてくると、色々な物が片付けられていた。

代わりに白い布が掛かった雛壇みたいなものが鎮座している。大きい写真立ての隣には、白い座布団置かれている。

意味がすぐに解ったが、逃げる様に着替えて家を出た。 

 

・いつもの様に仕事へ向かう。今日は他の部署へ顔を出す用事があったので、点々と部署を回っていった。今思うとそこで会った人の顔と名前がマトモに思い出せない。認識していたかも怪しく、後の書類作成に大変苦労した。

思い返してみれば、色々な局面で細々としたミスがあった。

明らか周りの人もどうしたものかと、自分に対して態度を持て余していた様に思えた。

よせばいいのに自分も「事前に言っておいてくれたらなー」なんて言っては

自分でダメージを負ってたりした。

売り上げがいつもの4倍近くだったのが救い。

 

~12月29日~

・午前0時半に帰宅。提出する領収書がどっか行ったかで30分ゴミ漁りしてたら退勤が遅れ電車も遅れで気付いたらこんな時間になっていた。朝のドタバタで鍵を忘れたので、消灯された家を見て焦りを感じるも、普通にドアの鍵が開いていた。田舎か。

思えばこの頃、みんな寝るのが早かった。やっぱりみんな、疲れ切っていたのだろう。

家でマトモに起きていたのは自分だけだった。正直、誰か一緒に居て欲しかった。

 

・重い荷物を降ろして一息吐いた時、ふと居間を見やると昼間には無かった物があった。祖父の似顔絵の入った写真立て。一目見た瞬間にもう立って居られなかった。

上着を脱ぐのも忘れて、膝から崩れ落ちて、声を押し殺しながら泣いた。

そしてここで愚かにも、やっと、初めて痛感した。

もう祖父はこの世に居ないのだと。

 

・10分位経った時に泣き止み、顔を上げた。

自分の垂らした涙と鼻水があまりにも汚かったからだ。

「汚ぇ……」

そう呟いて掃除へと駆り出させたのが、泣き止む大きな理由だった。

往々にして自己肯定力の低い人間は、自らを下げる事で自己を確立させる。

今回はそれがいい方向に働いたのかもしれない。そう思いたい。

 

・掃除の時に似顔絵と目が合った。

込み上げるものはあったが、流石に第二波到来とまではいかなかった。

よくよく見てみたら妹の絵の様に見えたが、タッチが父の絵にも見える

(二人の描く絵のアタリはかなり太い、そのせいか疎い自分は)

明日正解を聞こう、これも忘れないでおこう。そう思ってPCを立ち上げた。

 

・立ち上げたPCにこれまでの日々の記録を書いていった。とにかく記録した。忘れないように。思い出せるように。ご飯も最初はどうでもよかったけど、お腹が空いたのでちゃんと食べた。ボンカレー中辛。「ボンカレーはどう作ってもうまいのだ」『ブラック・ジャック』の台詞を思い出す。

そういやしんどくて辛い時は思い出した様にブラックジャックを読んでいた。数々の物語が僕に生きる勇気を与えてくれたのものだ。落ち着いてきたら読もう。風呂にも入ろう。

 

・テーブルを見ると、明日以降のタイムテーブルが記載された用紙が見付かった。

これは一目見て解る。父作成のものだ。昔っから旅行の際だとか団体行動時には、余裕と自由時間を組み込んだワンランク上のガチガチの予定表を作っては、自由人極まりない自分達をまとめ上げていたのだ。妹のバイトシフトから姉のCDお渡し会参加まで驚異の把握っぷり。

しかも通夜振る舞いの項に「おばさま方の相手」「子供係」ときて「おっさんの酒の相手」と茶目っ気たっぷりのオチを用意している。

今後の参考の為に、大元のデータとか貰えないかも明日聞いておこう。

「この先こういったのを自分が作るかもしれないから」

なんて一瞬でも思った事は決して言えないが。

 

・用紙には2枚目があった。通夜・告別式の受付手順をまとめたシートだ。

書かれた文面を音読して、明日の通夜への手順を覚えていく。割り振られた仕事は受付。

「お忙しい中お運び頂き、ありがとうございます」「ご記帳をお願い致します」

場を想定するだけで、別れが現実味を帯びて辛くなってきた。

だが、やり遂げなければ。現実から目を背けて、特に何もせず、周りに負担ばっかり強いている、随分と虫のいい話だが、情けない孫の最後の孝行として、しっかりやり遂げたい。

意志を固めると同時に――意思を固める為にも――ここへ記録を書き連ねていった。

時間を見ると午前5時を回っていた。思えば少し頭も痛い。

タイムテーブルには「15時出発」と書かれていた。

少しでも多く寝ておくべきと判断。床に就く。


・多く寝過ぎて12時に起きる。突発的に思い立ったとは言え5時まで起きていたのは賢くない判断だった。発掘したスーツ類にアイロンをどうにか押し当て、昼食を掻き込み出発。


・改めて痛感したのは、こういった事が起こった際の一人でいる事の辛さ。斎場までも一人だったら多分通夜にも参加出来なかった様にも思える。

今の自分を突き動かしているのは義務感。受付の仕事があるという役割がどうにか繋ぎ止めているに過ぎない。

……やり遂げなければ……

そう思う事でどうにか心を麻痺させていった。


・斎場に到着。

来て早々に受付の打ち合わせ。

……を嘲笑うかの様なイレギュラー対応に告ぐイレギュラー対応に翻弄され続けた。動じない心が欲しい。

ただそれに文句を言うのもおかしな話なので、自らの修行が足りん!と云う結論に。次は(無いのが一番だが)もっとうまくやります。


・「線香をあげなさい」と父に案内され、棺の中の祖父と対面する。

寝ているかの様な安らかな顔を見て、物凄く心が苦しくなった。

唇も赤みがかって、それこそ本当に、生きてるんじゃないか?と思わせるくらいには綺麗な顔だった。

「縫った手術跡もメイクで目立たなくして貰ったんだ」「棺に入れる前にシャンプーもしてたよ」と、鮮やかな仕事振りを教えて貰う。こういった心遣いで救われる遺族がどれだけいるんだろうか……

救われた一人として、仕事に敬意を払うのだった。(エンバーミングと言うんでしたっけ)


・隣に昨日見た似顔絵がある。更には立派な写真までも。

「誰が描いたのか」と聞いたら父のものだと答えてくれた。曰く「遺影に使った写真が笑顔じゃないから、せめて絵の中でも…と笑った似顔絵を描いたんだ」との事。この理由を明かされてまた泣いてしまった。それを受けて、

「あれしか写真に替わるものが無いとすっかり思い込んで『生きててごめんなさい』『ごめんなさいごめんなさい』とひたすらに泣き暮れた」という先日の事実を語ったら「それは違う」と方々から一刀両断されてしまった。

……取り敢えず写真があって良かった。


・つつがなく通夜は終了した。歓談しながらの会食の席は朗らかに盛り上がった。常日頃から会話の多い食卓なので、外であろうと、むしろ外だからこそ、各々が小技を効かせて、いつも以上に会話をするのだった。

そもそも祖父に関する逸話が面白いのが一番ズルいのであるが……

(語りたい気持ちはあるが何かと「触れる」ので割愛させていただきたい)


・と思っていたらいきなり胃に激痛が走り、トイレの個室へ駆け込んだ。

脂汗が一気に吹き出して立っても居られない。祈る様にして痛みの波が消えるのを待った。

原因は連日の乱れた食生活と心労がたたったのだとは思うが……

ふと思い出すのは祖父の死因。

もう少し胃を労ろう、そう思った。


~12月30日~

・6時に起床。胸の辺りにつかえがある。

最近の朝はずっと胸焼けが起こる。

ゆっくり休みたい、身体が、精神が、切に願っている。


・天気は曇り。

タクシーに乗って向かう際にはもう雨が降っていた。

吹き付ける風の寒さが容赦無い。

誰かが言った「涙雨だな」と言う一言が忘れられない。


・昨日に引き続き受付の仕事を行う。

イレギュラー対応ばかりだった昨日に比べたらちゃんとこなせた方だった。

「お忙しい中お運び頂き、ありがとうございます」発せられた声に自分でも驚く程に、悲壮感が込められていた。

同時に、来てくれた人への感謝の気持ちでも一杯だった。年末のこの時期に、あまりにも急で、自分でもおよそ信じられない出来事に、心を悼めて、寂しくないようにと駆け付け、見送りに来ている。

これに感謝を表せずにいられようか。

皆様、本当にありがとうございました。

 

・法要も終わり、出棺の儀へ移る。

この辺りから意識が中空に浮いた様にぼやけてくる。掴み所の無い、例え様の無い気分で胸が圧迫される。

火葬場では○○様と、自分達と同じ、他の家族も集まっている。

彼等もそうなのか、あなたも……

すれ違った人々にそれだけの悲しみがあった。少なくとも自分にはそう感じられた。 


・去年もう一人の祖父が亡くなった時は、火葬と云うものがあまりにも残酷な処刑に思えてしまい、収骨の際に気が動転してひたすら泣き続けてしまった。

今回はどこか違った。理解は出来る、だが未だに納得が出来なかった。

「母の遺骨を食べたいと思った」と云う書籍があったのを思い出したが、どことなくそれに近い気分だった。

ここで全てひっくり返したら、なかったことにならないだろうか――

ひょっこり生き返ってくれたりしないだろうか――

そんな気持ちとは裏腹に、係の人は丁寧に丁寧に、粉すら残すこと無い様にと、骨壺へと収めていった。


・帰りは晴れていた。

遺影を持ち、骨壺を持ち、その他重要書類を運ぶ。「降ってなくて良かったね」と母が語る。そうだねと返す。

降り続けていたらきっとこんな気分にもなれなかった。下ではなく前を向いて帰途へ付く。手に抱えているのは骨壺。

先程みたいな罰当たりな感情は消え失せていた。今となってはこの壺こそが、こちらと向こうを繋ぐ唯一の存在なのだから、きっちり前を向いて歩いていく。


・誰も彼もがご飯を作る気力が消え失せていた。買い出しすらままならない。なので特に故人の思い入れがあるわけではないがピザを注文した。胃を労るとは。

到着した際の暖かさ、店員さんの丁寧な対応が物凄く心に染み渡って、不意に涙が出てしまった。どうやら感情の降り幅がおかしくなっているみたいで、家人に言ったら笑われてしまった。

ドミノピザさんありがとう。


・語らいながら、祖父の思い出を語る。

決して誇れる様な孫ではなかったが、本当に可愛がってくれたなぁと、今更になって思う。

いなくなってから気付く馬鹿な孫でごめんなさい。


・印象深かったのは父がぽつりと漏らした言葉だった。

「大事な娘さんをいただくと言うのに、相手の男が頼りないってんじゃ話にならない」「だからお義父さんが困った時は全て手伝ってきた」「そしたら向こうも本当に良くしてくれたんだ」「『俺はこの人を裏切れない、この人には手抜かりで裏切る真似をしたらダメだ』、そう思ったから似顔絵も描いた」

言葉の節々から同じ男として、ものすごく大切にしなきゃならない心構えを言われた様な気がした。それは目の前の父からだけではなく、孫の前で「息子」として父に接する祖父の思い出からも教えてくれた様にも思える。

果たして自分はどうだろうか?

これは残りの人生で問われることだろう。肝に銘じていきたい。


~12月31日~

・今日は大晦日。幸か不幸か公休日。

むしろ幸、本当に疲れた、泥の様に眠った。大掃除も勘弁してください。


大人のピタゴラスイッチを録画。

新作をやらなくなったのが悲しい。

なので「デザインあ おとな版」の録画予約もする。


・そんなこんなで過ごしていたら、上司から昨日申請していた有給が却下された連絡が来た。

理由は日程と場所の記載漏れだとか。


何を言っているか全く解らなかった。


そもそも忌引が使えず有給申請(この時点で相当アレだが)していたのがこんな形で却下を喰らうとは思わなかった。

急過ぎる事態で特に連絡も店長くらいにしか出来なかったとは言え、こんな事があるのかと絶望した。上層部が何を考えているのか分からない。

事由から考えるに電報でも送る腹積もりだったのか(だったらそもそも忌引きで別で管理しろ、毎回の有休に日程と場所を聞くつもりだったのか?)

もしくは本当に法事で休んだのかの裏付けを取りたいからなのだろうか。他にもアレな前例しかないのを知っているから多分後者であろう。

いずれにせよ「疑われたと言う疑念」「人の死にわざわざケチ付けてきた」なんて不信感を抱くのには十分な理由だった。悲しみに暮れていた昨日とは打って変わって、腹の底から沸々と違う感情が沸き上がってきた。

取り敢えず2020年の目標がもうひとつ決まった。


・ 夜も更けて、鍋を囲む。

各人今年の振り返りをぽつぽつと話していく。

仕事だったり、趣味の話だったり……

自分の2019年は何かと怒濤の一年だったなあとしみじみ思う。来年はもう少し嬉しい事がありますように。


~2020年1月1日(水)~

一週間が経った。

2020年は記録の年にすると決めていた。

理由はともあれ、決めた事なのだから守らなければならない。

だから記録する。

とりあえずは…

仕事の前に手帳を買いたいと思った。

これから起こる悲しい事も、あるかも解らぬ嬉しい事も、いろんな事を忘れてしまわないように。

 

 

 

さよならもいわずに (ビームコミックス)

さよならもいわずに (ビームコミックス)

 

 

雑日記~みんな大好き!点取占い日記~

4月―
それは別れと出会い、終わりと始まりの季節。
今までの古巣と別れを告げ、新たな人生の一歩目を歩き出した皆様もいるのではないでしょうか?

こんにちは。おにくです。かく言う僕も、その一人でございます。
新しい環境に身を置き、あれやこれやと社会の荒波に揉まれております。
なかなか辛いものがありますね……慣れない仕事、慣れない関係、慣れない場所、慣れないご飯所……
多くの問題が頭を悩まし、僕等の行く末を不安で彩っております。
どうにかこの未来に、指標となる様な物があればなぁ……なんて思いながらの帰途にて、僕、一つ閃きました。

「そうだ!占いだ!不安な未来を占ってもらおう!」
「そうすればこの先もやっていけそうだぞ!」

……まあ無理矢理な誘導なのはわかっておりますが、どうかお付き合い下さい。
と云う事で、僕が絶対的な信頼を寄せる占いを今回はご紹介致します!

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その名も「点取占い」様(一袋97円)です!

【そもそも点取り占いってなんなのよ?】

「点取占い」は、駄菓子屋とかで売られている、お子様向けの占いです。
歴史はけっこう古く、昭和10年に大阪の駄菓子屋で売られていた「点取辻占い」が起源とのこと。
肝心の占い文の内容は「シュール」の一言に尽きるのです。
そうした点取占い、一部に絶大な人気を誇る為、様付けで呼ばれたりしてたり……

僕もこの文体や雰囲気から、多大な影響を受けました。ほんとだよ。
影響を受けた文筆家として舞城王太郎大槻ケンヂ・点取占い」と挙げる位には大好きです。
特に有名だったのは宝島社から出ていた『VOW』シリーズでの記事でしょう。
あまりのシュールさに当時の読者はこぞって腹筋を鍛えられたとかなんとか。(しらんけど)


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意外とストイックなゲーム性。

裏面にはご丁寧にルール説明も。

「50点以上がでれば上々、さらにガンバロウ。50点以下がでれば、反省することあり。」の文章とかたまりません。
占いだからってかなりアバウトでは?
しかも対戦OKという脅威の懐の深さ。相手が応じてくれるかは分かりませんけど。

まあそんな点取占い、せっかく買ったんだから多人数で楽しんで騒ぎたいじゃないですか?
てなわけで独自ルールを設けて対戦しました。

~点取占い杯2018 おにく家公式採用ルール~

①…まず酒を飲みましょう。(未成年が居る場合は無理矢理テンションをあげてもらいましょう)
②…ほどよく酔ってきたら全員に点取占いを分配しましょう。
③…分配した順に読み上げてもらいましょう。
④…点数とか関係無しに話題をかっさらっていった占いを出した人が勝ちです。
⑤…勝者にてきとーなおつまみをあげたら勝者っぽいふんいきが出るのであげましょう。
⑥…飽きたら他の話題で盛り上がりましょう。

以上の糞ルールで対戦しました。シラフでも楽しめる点取占いに酒が合わさって最強にみえます。
(各自持ち寄ったおつまみをポーカーみたいに賭ければもっとゲーム性増したかもしれなかったんですが、酔っ払いにはそこに気付きませんでした。)
参加者は父・母・姉・僕・妹(未成年)の5名。
酒飲んで不確かな記憶を頼りに如何に盛り上がったかの記録を以下に記します。どうぞ。

【一巡目 手番:母】

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「便所の中で歌をうたっていたのはお前だろう ◐6点」

母「『すいませ~ん』位しか言えない」
僕「コレ、善悪の判断は受け手次第なのかよ」
姉「いきなり変化球が過ぎる」

【一巡目 手番:姉】

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「大きな船の船長になれる 〇10点」

姉「私だけスケールでかくない!?」
僕「現代語に翻訳すると『おれは海賊王になる!』ってやつだ(意味不明)」

【一巡目 手番:父】

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「待ちぼうけになったことがありますか ●4点」

父「まさかの問い掛け」
妹「そりゃ誰だってあるでしょうよ……」

【一巡目 手番:妹】

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「鯨の背中にのって太平洋を泳ぎまわろう 〇7点」

妹「この気の抜ける絵よ」
僕「これは…人がデカいのか、クジラが小さすぎるのか…判断に困る」
姉「私のがスケールがデカい」

【一巡目 最終手番:僕】

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「貝ひろいに行きたい 〇8点」

僕「いや行けよ」
姉「パンチ弱くない?」

というわけで一巡目が終了。
勝者は善悪の判断が付かないのにどことなくキレ気味な母の占いでした。
おかわりいってみましょう。

【二巡目 手番:僕】

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「なんでもありがとうと言いなさい 〇9点」

僕「まさかのスピリチュアル路線」
妹「いやでも内容は教育的でいいんじゃない?」


【二巡目 手番:妹】

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「学校の帰りに道草した ◐6点」

妹「しょっぼ!」
僕「道草は良いことなの?」
母「いや悪いでしょ」


【二巡目 手番:父】
(先に見ていた様で一人ツボに入って笑っている)
妹「はやくして」

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「山へ登った時蛇が出てきたらどうしますか ●1点」

父「絵が情けない(笑)」
妹「問い掛け再び」
僕「コレ実は『山に登った時蛇』が出てきたらどうしますか、なんじゃないんですかね?」
母「時蛇って何だよ」

【二巡目 手番:姉】

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「学校の帰りに道草した ◐6点」

姉「被った」
僕「さっきのスケールのデカさは何処へ」

【二巡目 最終手番:母】

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「クラゲとタコはどちらがつよいか ●2点」

(一同大爆笑)

父「知らねぇよ!」
姉「え、でもコレクラゲがさ…」
僕「カツオノエボシだったら?」
妹「じゃあ多分勝ち」
母「クラゲは癒し系だからね(意味不明)」
……とかやってる間にダリフラの時間が近くなったのでおひらき。
結果はやっぱり二巡目も母の勝ちでした。

点取占い、いかがだったでしょうか。
正直占い要素皆無でしたね。しかし、これからの未来に活かせる様な…
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新社会人や…
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新入生の…
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指標…
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指標…?
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指標…………?
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無理では?


~おまけ~

ここからは余った占いを放出します。
大喜利感覚で楽しむも良し、
クソリプ画像フォルダに保存するも良し……と、楽しんで頂けたら幸いです。
(本当は一言添えて紹介したかったけど、上記のやりとりを見るに、僕に大喜利の才能が無いのはお分かりでしょう。やめときます。)

(ちなみに購入したのは、アメ横にある「二木の菓子 ビック館」にて購入しました。

二木の菓子“ビック館”(免税対応店) | 二木の菓子

二階の奥にひっそりと置いてあるので、ご参考までに。)

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雑日記~髭剃りの失敗に於ける支離滅裂な論考について~

この世に生を受け幾星霜……

とか言うのもおこがましい程だが生きて早22年……

大体そこから10年差し引いた時に「そいつ」は現れた。

「髭」である。

こいつらはいきなり性の目醒めと共にやってきた、言わば侵略者。

日々徐々に侵略行為を進めては、顔面領地を無茶苦茶にしてくる侵略者。

そうした不届き者を成敗する事が、漢の器量を測るバロメーターであり、

「髭剃り」と云う行為なのだ。

 

俺は、それに失敗した――

 

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雑日記~三村かな子ちゃんお誕生日おめでとう日記~

人間は簡単に狂える。
普段の認識や人間性をかなぐり捨てて、
ただ一心に、猟奇的に振る舞う事が出来る。
狂える理由さえあれば――


少なくとも俺が狂うには十分な理由だった。

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斑鳩日記~十四回目~

こんにちは(暗黒微笑)

 

みなさんだいじょうぶですか(心配)

虚無感とかマッチョとかにおそわれてませんか(大心配)

僕はヤの付く自由業の方に肩を撃たれる悪夢を見ました(消耗)

てなかんじでいきます(暗黒微笑) 

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